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里主コラム
コラム 71 花祭
コラム 72 潮干狩り
コラム 73 岩盤農協
コラム 74 Prussian blue
コラム 75 梅酒
コラム 76 噛ing
コラム 77 露草にホタル
コラム 78 稲妻
コラム 79 WASHYOKUから和食へ
コラム 80

厄介な自然現象

 

里主コラム 1~10 51~60  101~110  141~150  191~200
里主コラム 11~20 61~70  111~120  151~160  200~211
里主コラム 21~30 71~80  121~120  161~170  
里主コラム 31~40  81~90  121~130  171~180  
里主コラム 41~50  91~100  131~140  181~190  

 

  • 花祭

  •  ツツジの赤や白の花が満開に咲きほこり春爛漫、早生品種の田植えも盛りです。


  •  幼少の頃、祖母がツツジの枝を折って田圃の取水口に刺して豊作を願っていました。
     昔の人は山の花を取水口にさして山の恵みを呼び込む神事を行いました。
     豊かな山の恵が山々から川へ、そして田へと注がれて豊作になることを願って祈祷をしました。雨水を通して山の木々や動植物の豊富な栄養分を下流へ運び、その清らかな水が稲作には欠かすことの出来ない施肥であることを古人は理解し、自然を敬い神事となったのでしょう。ましてや干ばつになると水争いや飢饉を招き、悲劇を生んだ事は歴史が教えているから尚更です。


  •  現在はダムや灌漑施設が完備されて昔ほどの事は起こらないと最近まで信じていました。ところが近年の地球温暖化による極端な水不足や集中豪雨、台風の巨大化や高温障害、病虫害の多発など環境の激変が誰の目にも明らかとなって、不作に見舞われる頻度はますます増えると栽培が難しくなって、異変を感じざるをえません。
     自然からの祟り、自然を軽視した報い、と自戒するところですが、その祟りの多くは一次産業に向けられ、圧倒的多数の二次、三次産業への被害は軽便です。
     当節の花祭は仏教的色彩が濃いのですが、仏教伝来前は自然崇拝や山岳宗教から派生したもので、山の恵から農作物が豊かに実ることを祈願したものです。
     今一度、異常気象を地球上に住む人々が本気になって考え、生き方、生活スタイルを再考して頂けないものでしょうか。
     一次産業に従事する我々は一番敏感にその変化を察知して、恐怖感を抱いております。
     自然と一番遠い都市に住む人々は理解しにくい事象かもしれませんが、自然の中に生かされた生身であることには代わりはありません。「小さな自然」から見つめ直して暮らす良い時節と思いませんか。

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  • 潮干狩り

  •  久しぶりに孫達と潮干狩りに出かけてみると、アサリの数の少なさにびっくり、環境の変化で繁殖がままならないのだろうか?
     大きい物は少なく、小ぶりのものが目立ち、ほんの少しのアサリに孫達は大はしゃぎしていました。
     私が小さい頃の砂浜の環境とは劇的に変化していて、今いる場所が昔のどの付近か頭がこんがらがってくる始末。
     昔は遠浅のきれいな砂浜に黒松の防風林帯がどこまでも続く見事な海岸線があった。現在ではコンクリートの巨大な防潮堤とテトラポットが並び、所々にコンクリートの堰堤が突き出て、砂浜はその間隙に申し訳程度に存在するに過ぎない。昔、漁師たちは木船でこぎ、豊富な近海魚を必要な分だけ採っては早々に浜に上がって、そのおすそ分けを頂いたものですが、現在は魚群探知機付きのハイテク船で、近海とは言えない程遠くに出かけて魚の群れをピンポイントで根こそぎ捕獲して冷凍保存し、幼魚も成魚も一網打尽、高度な技術が魚を追いつめてますます漁獲が減って漁師は生計が立たないとか。お陰で魚はめっきり少なくなりアジや鯖は庶民にとって安価な食材であったが近頃はそうも行かなくなりました。人が海を制圧することも出来ないのに悪循環である。専門家によると大気中のCO2が増加して海洋の酸性化が進んで、サンゴの白化現象が起き、魚類の種が劇的に減っていると警告を発しています。
     山も荒廃し、里も農薬や化学肥料漬け、海も各のごときで自然は悲鳴を上げています。問題は其れを理解して是正しようとする動きが大変に鈍いことです。このまま推移して放置すれば取り返しのつかない破滅へ向かうかもかもし知れない?と専門家は再三に渡って警鐘を鳴らしているのに・・・。
     微力では有りますが、山には樹木を植えてゴミを拾い、里では無農薬無化学肥料で生きた土で米栽培をして土壌汚染を防ぎ、海では海藻を肥料として頂くついでにゴミ拾いをしています。自然の優しさと自然の怖さを知る農民は、身近に感じる自然の変化には敏感です。

     国レベル、企業レベル、そして個人レベルの経済至上主義を改める方策はないものでしょうか
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  • 岩盤農協

  •  最近盛んに規制緩和のやり玉に上がっているのがJA(農協)、組合員である農家の立場からしても、ほんとうに保守的なガンバン(岩盤)組織だと感じています。
     

  •  先日、あるTV番組で元農水省OBと元全中(農協の最上部組織)OB出の代議士の論戦が水と油に終始していて、ほとんどの視聴者の方々は元農水省OBに軍配を上げたのではないでしようか。

    私共が所属する組織は農協の最下部組織で、一番農家の為の組織でなければならいのに現実は程遠いものです。政府予算はJA経由でほとんどが執行されて農家までたどり着かず組織のための補助金使用に出来上がっているのが実態です。TPP問題は世の中がグローバル化している証拠であるにも関わらず其れを真っ向反対では戦中戦後間もない農政時代の古びた感覚です。180万戸程の農家の内、専業農家が1割強程度で残りは殆ど第二種兼業農家(農外所得が多い農家)で占められ、其れをうまく利用した巨大組織JAの構図となっています。真剣に農業に取り組む専業農家にとっては無用の組織です。民主党が一部の補助金を農家に直接支払いをする制度改革を行い有難く思っていますが、抜本改革までには程遠いものです。農地や水利の絡み、又村社会の残存からJAに縛られていて、スピードが要求される現代にあって専業農家は自主性が非常に発揮しにくい仕組みです。
  •  例えば当地は土質から米単作地帯ですが、早生から晩稲までの品種を作りたくても早生品種のみに対応した農業用水の送水しか行わず、一年365日農作物を栽培することは物理的に無理です。弊里は無農薬無化学肥料のこだわり栽培をしているので、各圃場に独自で井戸を掘ってポンプアップして早生から晩稲まで作っていますが、設備代や電気代などのランニングコストはなりの負担となっています。これは特殊なケースで、一般農家では僅かな期間しか栽培出来ない不条理さが有ります。
  •  一般企業だと一年中製造や販売をするのが当たり前ですが、一年の半分や其れ以下で事業すること事態ナンセンスです。
  •  又、あるJA運営の農産市では表向きは農家の為の直販市となっていますが出品が制限され、お米の販売は許されていません。JAは農家から米を買い上げて其れを40%近い利を乗せて産直市で販売しています。野菜などは仲卸からスーパー顔負けの大量仕入れで、各農家からの出品は広い売り場面積に申し訳程度のスペースしかし割り振られていないのが現状です。しかもその農産市は全額が補助金を使って作ったものです。毎年運営についての総会がありますが是正する改革案を出しても馬耳東風、形骸的な総会で一応農家の意見を聞いた形をとっているにすぎません。政府はやる気のある専業農家のために政策を取るべきであって、農家とは言いがたい第二種兼業農家を利用したJA組織を経由した予算配分は問題です。農業に重きを置いていない兼業農家はいち早く退場を願って、プロ農家が時代の要請に沿ったカタチで食料の生産販売に切磋琢磨するのが筋ではないでしょうか。予算は環境保全や循環型社会の構築の観点から別途に直接支給し、商品そのものは経済の原則に則った価格で消費者に提供するのが筋です。先進地農業国はどこもそのような施策を採っています。岩盤を爆破し、新農政で21世紀の産業へ生まれ変わることを強く希望するものです
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  • 花祭

  •  ツツジの赤や白の花が満開に咲きほこり春爛漫、早生品種の田植えも盛りです。


  •  幼少の頃、祖母がツツジの枝を折って田圃の取水口に刺して豊作を願っていました。
     昔の人は山の花を取水口にさして山の恵みを呼び込む神事を行いました。
     豊かな山の恵が山々から川へ、そして田へと注がれて豊作になることを願って祈祷をしました。雨水を通して山の木々や動植物の豊富な栄養分を下流へ運び、その清らかな水が稲作には欠かすことの出来ない施肥であることを古人は理解し、自然を敬い神事となったのでしょう。ましてや干ばつになると水争いや飢饉を招き、悲劇を生んだ事は歴史が教えているから尚更です。


  •  現在はダムや灌漑施設が完備されて昔ほどの事は起こらないと最近まで信じていました。ところが近年の地球温暖化による極端な水不足や集中豪雨、台風の巨大化や高温障害、病虫害の多発など環境の激変が誰の目にも明らかとなって、不作に見舞われる頻度はますます増えると栽培が難しくなって、異変を感じざるをえません。
     自然からの祟り、自然を軽視した報い、と自戒するところですが、その祟りの多くは一次産業に向けられ、圧倒的多数の二次、三次産業への被害は軽便です。
    当節の花祭は仏教的色彩が濃いのですが、仏教伝来前は自然崇拝や山岳宗教から派生したもので、山の恵から農作物が豊かに実ることを祈願したものです。
    今一度、異常気象を地球上に住む人々が本気になって考え、生き方、生活スタイルを再考して頂けないものでしょうか。
     一次産業に従事する我々は一番敏感にその変化を察知して、恐怖感を抱いております。
     自然と一番遠い都市に住む人々は理解しにくい事象かもしれませんが、自然の中に生かされた生身であることには代わりはありません。「小さな自然」から見つめ直して暮らす良い時節と思いませんか。

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  • Prussian blue

     

  •  青葉茂る6月になるといつも藍色が恋しくなります。


  •  徳島県は江戸時代から藍の一大産地で、明治時代までは着物の染に藍が日本中で使用されていました。その後化学染料に押されて現在は原料になるタデを一軒の農家のみで栽培されている稀有な存在となりました。しかしBlue色は夏の時節には清涼感があって欠かせないもの、鄙びたお店の暖簾がけはblueが似合いますし、野良着の紺絣や浴衣の紺地など、昔の今時にはきっと日本国中がblueに染まっていたことと心を馳せてしまいます。


  •  「藍摺りの夜」と万葉集に詠まれる昔から好まれた馴染みのカラー、出しゃばらず、気品があって、奥行きのあるPrussian blueはその物を活き活きと躍動的に映し、しかも自己主張ははっきりしている不思議な色彩です。
     近世には何と言っても葛飾北斎の「富嶽三十六景」、その中でも「神奈川沖浪裏」は大胆な構図で浪と漁船と富士が描かれていて、Prussian blueの色味が巧みに利用され、波飛沫の瞬間を巧みに捉えた卓越した表現は最高傑作の一つとして世界中から絶賛されています。
    歌川広重の「東海道五十三次」にもこのPrussian blueを活かした表現がされていて、時代を超えて現代の人々を魅了しています。旅の情報として当時は浮世絵がもてはやされ、現代の情報社会の走りであっが、やはりベースのblueが日本人には好まれたのでしょう。
     「青は藍より出て藍より青し」の諺があるように、師匠(亡き父)を超える弟子(私)になりたいと努力精進していますがその頂きも未だ見えない次第です。父は町内一の篤農家で、どんな年でも町内一の良質な米を作る技術を持っていました。今でも不思議に思います。自然観察は並外れていて、夜も明けやらぬ朝靄前のblueがかった圃場や山並みの具合をじっと眺め、稲と会話しながら生育状態を肌感覚で読み解いている姿を今でも思い浮かべます。


  •  現在は地球温暖化やグローバル社会からフラット化が猛烈な勢いで進み、大気汚染が深刻さを増し、PM2.5や光化学スモッグが各国で発生し、果ては花粉症までとマスクを手放せない時代になっています。澄んだ空に、おいしい空気、おいしい水、それが美味しい食べ物へと誘う基礎的要素がどれもblueに由来しています。浮世絵の時代までFeed backするのはもう夢のまた夢かも知れませんが、せめてPrussian blueの絵画を楽しむ心を持って、その時代に一歩でも近づける努力を惜しまない必要があるのではないでしょうか。

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  • 梅酒

     今年は6月3日に四国地方が梅雨入りとなり、この時節は何と言っても「梅」、特に自家製の梅酒の漬け込み時期です。

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  •  我が家は十年以上の梅酒がありますが味はとってもまろやかで絶品です。通常は3年物以上が美味しく頂ける目安かと思いますが、作柄の良い年は例年より多く漬けるため長く寝かす事になり、十年を過ぎる逸品に遭遇することにもなります。程よく実った梅をよく洗浄して角砂糖と果実酒を合わせて作るのですが、この作業が意外と手間のかかるもので特にヘタ取りが大変、それが終わると瓶詰めして蔵にしまい込みます。一年に数回かき混ぜて、後は自然の力でゆっくりゆっくりと熟成させて刻を刻み、程よい味になるのを待ちます。年々歳々、味や香り、色合いや風味が微妙に異なり妙味が楽しめます。市販されているのとは一味違った自分の好みに調整できる上、何も不純物が入っていないのでとても安心です。

  •  また、この時期に決まって咲く白い花に「十薬」(どくだみ)が有ります。白十字の白い花が果樹の下間に咲き、雑草の類に入れたくなって刈り取ってしまいたくなるのですが、これが優れもので十薬と言われる程に、皮膚疾患ややけど、便秘や冷え性などに良いとされ、この時期に収穫して陰干しして煎じて使います。刈り取りするときの強烈な匂いはたまりませんが、でもその匂いが体に良いと母は言います。煎じ茶や化粧水にして一年中利用できて重宝している母、結構効能はあるようです。
    薬雨と言われる日も6月で、今年は6月2日、この時節は体調を崩す方が多く、昔はその日の雨水を使って煎じた薬草は特に効き目が良いとされて清流の水を汲んで使用しましたが、昨今では環境悪化に伴い一概には言えなくなりました。


  •  自然の恵みに感謝しながら歳事を楽しむことは本当に幸せなことです。
     時々の歳事を皆様も作ってみてはいかがでしょうか。

     

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  • 噛ing

     最近のお若い方の顔立ちがソッポ顔になって居るのをご存知ですか。
    歯医者に行って親知らずの治療をして頂いた時に先生から意外な言葉が飛び出してビックリです。
    「若い方は親知らずが無いのですよ。」
    「え、ホントですか?」「それ進化ですか?」
    「否、幼児期から食べ物をよく噛まなくなったのと、柔らかいものばかりが食卓や外食に並んでいるのが原因です。」
    「なるほど・・・。」全くもってすごい時代になったと感じました。お若い方に殆ど角張った顔が観られなくなった理由が判りました。

  •  私は米作りをして半世紀が過ぎましたが、若い方々の食事場面をまじまじと観察する機会がなかったので大変ショックを受けました。

  •  昔、プロ野球選手でホームラン王の王貞治氏はバットの素振り練習を猛烈に重ねて一本足打法を編み出しましたが、歯を食いしばって振るので気が付くと奥歯(親知らずを含めて)がボロボロになっていたそうです。彼の顔ははっきりとした角顔です。

  •  これは仕事柄の動作ですが、食べる時はしっかり噛んで、できれば20回位噛むと食物がよくこなれて唾液が十分に廻り、美味しく頂け、消化を助けて、しかも頭のめぐりが良くなると言われています。
    噛みしめる。
    噛みちぎる。
    噛み砕く。
    噛みこなす。
    噛み合わせる。

  • など噛む表現は沢山ありますがどれも大切な動作です。
     

  •  使わなくなれば退化して機能が衰えます。親知らずは奥歯に上下左右に合計4本有りますが、有るのと無いのでは噛む力に格段の差があります。ですから親知らずのない方はその分だけ効率が悪いので出来るだけよく噛んで食事をされることをお奨めします。
     お米で申し上げると特に玄米はしっかり噛むと甘みが出て、旨味成分や栄養が沢山含まれている糊粉層(お米の表層部と白米層の間)や胚芽がこなれて、美味しくいただけると同時に健康に良いので是非ともお奨めします。

     私は皆様にお米の本来の味を楽しんで頂き、美味しく健康で人生を過して頂けることを願って作っています。特にお若い方はこれからの長い人生において食事は大変重要な動作です。「噛む」基本動作に「ing」をつけて、しっかり「噛ing」することを心得て頂ければ人生がBerry Happyです。

     

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  • 露草にホタル

     時候柄、川岸に生えるムラサキツユクサが梅雨空に冴えたブルーの花を凛と咲かせて、その姿はそこはかとなく気品を漂わせています。


  • 月草に衣は摺らむ朝露に
    ぬれての後は移ろひぬとも


  • と、万葉集にも詠まれているように月草とも言いわれています。


  •  昔は竹籠に露草とホタルを入れて蒸し暑い梅雨時期と夏の熱さを凌いで「涼」を楽しんだものです。別名を蛍草と呼んでいるのもこれから来ているのでしょう。
     染色にタデ(藍)と共に使われて友禅染の下絵には欠かせない青花ですが、藍以上に色落ちするので最近では藍染めも然りですが、一部の染織家や草木染めの愛好家が染料として楽しむ程度となってしまいました。
     朝露を受けてピント張った枝葉に露を受けた青花は可憐で涼しげ、川面に映えてとても心を爽やかにしてくれます。その美しさを際だたせるのが夜の川岸、露草が雑草に混じって頭ひとつ背丈を伸ばしてそこにホタルが露を求めて停まり、放つホタルの仄かな光が映しだす露花の「自然の妙」はとても素晴らしい夜景です。近頃ではめっきりホタルの数が少なくなってしまいましたが、何故かホタルには露草が似合います。ホタルは水を好みますので必然的に惹かれてくるのでしょうが、花の命は儚いもので一日でその可憐な花は勢いをなくしてしまいます。 短い花の寿命が故に日本人の心琴に触れるのでしよう。
     稲の生育具合や水加減を観て廻る「田廻り」時に岸辺に咲く露草は、作業の合間の心と体を癒してくれる貴重な野辺の花です。
     これから夏の間、特に夕暮れから夜間のホタルと露草の関係は、自然と共生して安心安全で美味しいお米を作る者にとって良いアクセントとなっています。

     環境が許せば、皆様も足元にそそと咲く季節の野花に眼をやって、心豊かに過ごしてみてはいかがでしょうか。
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  • 稲妻

     梅雨時期も後半になると真夏の太平洋の高気圧とシベリヤ大陸からの寒気のせめぎ合いが始まって、夏本番になるまで行ったり来たり、その往来の境目で雷鳴を伴って激しい降雨をもたらし、時には集中豪雨となって災害を引き起こします。
     稲作農家にとって涸れ梅雨時は慈雨で有り、雨の多い年は厄介な水害を伴う凶作年になります。最近の傾向は温暖化の影響からか調度良い梅雨年は少なく、極端から極端になる傾向にあり栽培加減もいよいよ難しくなってきました。


  •  日本の稲作文化は古くから雷との関係が密で、稲妻とか稲光、稲魂など雷に稲の付いた言葉が生まれました。放電現象がおきて雷が発生すると、空気中の窒素を沢山含んだ雨を地上にもたらします。

  •  稲作は窒素とリン酸とカリの三大肥料が必要で、積乱雲から発生する雷雨は生育に必要な窒素肥料を天から恵んでくれる訳で、雷鳴を伴って降る雨が多い年は豊作年と古人は経験的に知っており、神事として有難く思ったのでしょう。美味しく栄養価の高い米を栽培するには三大肥料だけでは難しく、微量要素のビタミン類やミネラル類が必要です。

  •  現在大多数の農家は化学肥料に頼り三大肥料が調合された肥料を田植え時に多肥して、省力化とコスト削減で増産を計っています。丁度養鶏農家がブロイラーで囲いをして鶏の運動量を抑えて餌の消費を抑えながら省エネで卵を産ませているようなものです。鶏は本来野放しでミミズや昆虫、色んな野草を好きなだけ啄んでは元気いっぱい動き回り、自然の中で産むその卵は黄身がしっかりして健康な卵そのものです。カタチは同じでも中身が違う卵は似て非なるものです。

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  •  稲作土壌も本来は色んな成分が含まれた中に微生物が生きていて、食物連鎖をしながら一年のサイクルで動いている将に生きた土なのですが、長年化学肥料だけに頼った土壌はそのバランスを欠いて痩せた硬い土となって微生物が住めない環境となっています。生きた土は柔らかい粘土質で小動物や鳥達も沢山飛来して活気があります。私どもは生きた土から育てていますので、自然環境を整える為に手間ひまを惜しまず、一年中土作りに時間を掛けています。雷様が鳴り響く時節は稲も青春期にさしかかり元気そのもの、水中のタガメや小鮒、株間に巣を張る蜘蛛、鷺などの野鳥たち皆、雷鳴と降る雨に打たれても活き活きとして育ち暮らしています。自然は本当に素晴らしいものです。

     
  •  雷雨に打たれながら「自然の真ん中」にいる幸せを体験したこと有りますか。
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  • WASHYOKUから和食へ

     人生にとって一番大切な事は健康です。

  •  その健康を維持する最も重要な事は食事であることは自明の理です。
     

  •  日本人は温帯モンスーンで四季の有る島国に暮らし、適作のお米を主食としています。
     お米は完全栄養食品ですが、唯一不足するものにリジンが有ります。これを含むのが大豆で、古人は長い歴史から体験的にそのことを知り、大豆の発酵食品の味噌を考案して、お味噌汁を発明して一年を通じて栄養のバランスをとってリジンを補い、そこに季節の具材をたっぷり取り入れて季節を感じながら美味しく頂く日本の食文化が出来上がりました。豆腐も大豆を上手に頂く優れた発明品で欠かすことの出来ない和食のアイテムで、単品では冷奴や湯豆腐、そして味噌汁には欠かせない加工食品となっています。
     昭和30年代まではどこのご家庭でもこれが基本で、それぞれに家庭の味が有りました。加えて一品魚や肉などあれば大変なご馳走でした。
    戦後の高度経済成長に伴い、家族社会が崩壊して核家族化し食文化に異変が訪れ、パン食など洋食が徐々に浸透して、それに呼応するように主食の米や味噌汁が食卓から半減して現在に至っています。朝は軽食でパンと少量の野菜類と肉や魚類(加工を含め)といった光景をよく目にしますが、それが本当に日本人の健康にいいのでしょうか?
     最近「和食」が世界(西欧)から食文化として認められましたが、世界の人々が賞賛する食事を今の日本人が軽視する食卓は決して褒められたものではありません。
    日本人の特性として内なる者への評価は低く、海外の評価はそれ以上に高く診る傾向にあります。成熟社会になって思考もそろそろ成熟してはどうでしようか。切り捨ててきた日本の食文化を見直すきっかけになるのではと内心思っていますが・・・。
     現代の日本人は和食が余りにも身近過ぎて反ってその良さを知らないのではないでしょうか。大家族であった時代は家庭の味が祖母から母に、母からお嫁さんへと知恵が伝授されて和食文化が受け継がれて健康の源となっていました。現在はメニューや作り方を家庭で教える方が同居されていないご家庭がほとんどで生活の知恵が伝受されていません。一考を要する事柄です。
    幸いにも家族に恵まれ、自然環境にも恵まれ、採れたての無農薬野菜と自家製の味噌、勿論主食の無農薬のお米、それに加えて魚や肉、季節の食材などバランスよく三度々頂く事が出来る我が家はHappyです。
     日本の気候風土と日本人の体に一番合った「和食」を、この機会にもう一度を見直して(お若い方は勉強されて)健やかでHappyな人生を送りませんか。

     無事是貴人。
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  • 厄介な自然現象

     アメリカではハリケーンやトルネード、日本の夏は、西日本では何と言っても台風、このシーズンに入ると特に気象情報に注意をします。今年は早くも8号が910hpまで発達して暴風雨が容赦なく猛威を振るって各地に被害を出しています。
     露地栽培で農産物を生産する農家にとって、これほど厄介なものは無く、直撃を受けると今までの苦労は水の泡と化して売上は激減し、生活設計まで変更を余儀なくされます。温帯モンスーンの地ならではの雨を運ぶ気象現象の一つとして仕方がないことと諦めていますが、最小限度の被害で収まるよう願って古代より水神を祀りして来ました。井戸を掘った時に壱分金(壱両小判の1/4)を沈めて井戸が枯たり大雨が降らない様に祈る習わしも有りました。今では井戸の有るお宅はほとんど無く市町村の上水道に頼っています。
     我が家には二箇所の井戸が有り水温は一年を通して15℃、水位によって天候を見計らい、夏のスイカを冷やす格好の場所として重宝し、又鯉を放し苔掃除に一役買って貰い大きくなった頃を見計らってアライにして頂く贅沢も井戸が有ってこその生活の知恵です。
     二百十日、二百二十日は台風襲来の確率が高く、昔から厄日とされてその一週間ほど前から特に自然現象には気を配ります。大型台風の場合は一週間ほど前から沖が鳴り、夕焼けが異常に赤く染まり、野鳥や小動物が姿を消します。家屋の屋根を確認し窓に板子をさし止めて内側から突張りを入れて強風に備え、自宅の畳を上げての水害対策をし、水田は用水の水はけを良くする草刈りやゴミ掃除など対策を取ります。後は天のみぞ知る所となります。
     「風が吹けば桶屋が儲かる」理由ですが、農家は大損害をこうむる側、有難くない自然現象ですが、来年こそは良き年であるよう「自然の恵」に感謝して、辛抱強く打たれ強く生きて暮らす農家の長~い歴史はこれからも変わらなく続くことでしょう。
     地球温暖化が顕著になって熱帯化や寒冷化などへ激変すれば別問題ですが・・・。
     その時は農業の生業も別次元の問題と化して、人類存亡の危機対応へ向かうでしょう。
     何かSF小説紛いですが、取り返しのつかないことが起こらない為にも生活の質を考え直す時代に差し掛かっていると思います。無策ではSFが現実になる日も強ち遠くはないかもしれません。勿論現代を生きる我々はこの世にいないので確認の術がありませんが・・・。

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